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オフィスエフエイ・コムは、エレクトロニクス商社大手のカナデン(東京都中央区)と共同で可動式架台一体型ロボット「KaRy」を2020年に開発し、販売しています。お手ごろな値段とコンパクトさが魅力で話題を呼ぶKaRyの実力と魅力を学ぼうと、開発などを担当した埼玉工場を訪ねてみました。
渋沢栄一にわく埼玉・深谷で開発
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埼玉工場は、地元出身の渋沢栄一が主人公のNHK大河ドラマ「青天を衝け」や新1万円札に選ばれて話題の埼玉県深谷市にあります。JR深谷駅前には栄一の銅像があり、さまざまなのぼりや横断幕が掲げられているだけでなく、階段には地元のゆるキャラ・ふっかちゃんとのコラボイラストが描かれていたりして、ちょっとした盛り上がりをみせていました。
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工場は深谷駅から南西に約8キロ、車で約20分で到着。敷地入り口に建つ黒い壁の事務所はちょうど改装直後で落ち着いた雰囲気を見せていました。右奥に見えるのが工場です。……もっとも、実は最寄り駅の秩父鉄道・小前田駅からだと徒歩8分。単に栄一フィーバーにわく深谷駅のにぎわいを見たくて遠回りしたのでした。
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なお、工場は元々精密機械を取り扱う緑星という会社で、2005年にエフエイ・コムの子会社となり、2020年7月からは埼玉工場としての役割も担うことになりました。そのため、工場の壁には「緑星」の看板も掲げられています。
シールの図柄を読み取って仕分けることも
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事務所で通された部屋には……おや、KaRyが3種類も並んでいます。実は今回発売されたのは左の可搬重量が4キロのタイプで、右は可搬重量7キロのタイプ、中央は協働ロボットを組み合わせたタイプの試作機なのでした。開発作業は今も続いており、今後ラインナップが増える可能性もあるということです。
KaRyは、手押しで動かすことのできる台の上に産業用ロボットを載せたシステムです。コンパクトで価格も198万円から*注とお求めやすくなっているのが最大の特徴。標準で簡単なサンプルプログラムも組み込まれていて、簡単な作業ならすぐにさせることができます。早速、デモ運転してもらいました。
注:2021年4月の取材日時点。最新の価格はお問い合わせください。
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デモ運転では、小型の瓶を取り上げて表面のシールをセンサで読み取り、シールの種類に応じて仕分けてくれました。キレのある動きがなかなか小気味良いです。センサが何のシールを読み取っているのかと目をこらすと……
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かわいい赤鬼、青鬼、おじいさん、おばあさん……そう、桃太郎の登場人物です。
なお、誤解のないように加えると、このシステムは実はフルバージョンのセットで、198万円では買えません。
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ワークをつかむハンドに、
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図柄を読み取るセンサ、さらに
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周囲に人がいないかを感知するセンサもあって、人が近づくと自動で動作のスピードを落とします。これらの装置はすべてオプションです。逆にいえばこうした周辺機器も豊富に準備しています。
価格とサイズにこだわり
今回の製品の構想は、2019年の10月からあったといいます。自動化に関心があっても費用の面でロボット導入をためらわれるお客さま向けに、最初の一歩の敷居を少しでも下げられないかというのが最初の思いでした。製品の開発が本格化したのは20年6月。最初の思いを大切に、価格とサイズにはこだわったといいます。
そもそも、ロボットシステムの平均導入価格は2000万円台とされてきました(経済産業省・日本ロボット工業会の資料より)。他社でもKaRyと似たコンセプトの製品が出てきていますが、それでも500〜600万円。それを、200万円を切ることにこだわりました。しかも購入してすぐに活用できるサンプルプログラムも付けました。ロボットシステム導入の心理的ハードルはかなり下がったのではないかと自負しています。
さらに、サイズは幅50センチ、奥行き70センチ、高さ75センチとかなりコンパクト。実は、当初の試作機ではもう一回り大きなサイズでした。しかし、取り回しの良さをアピールするため、そこからさらにサイズダウンさせ、制御のための機器類をうまく収めました。
ちなみに、説明をしてくれた制御技術課の渡部雅紀がKaRyの名前の由来について教えてくれました。「カナデン(KANADEN)」と「緑星(Ryokusei)」の頭文字をそれぞれ組み合わせ、「持ち運びできる」という意味の英語「carry」に掛けたものだということです。両社の社員からの公募を経て決まりました。
製造業は今、少量多品種生産が求められる時代。作る製品に合わせて使う機械を変えなければならない段取り替えが必要な場面もあります。そんなときでも、コンパクトなKaRyなら、必要に応じて作業者が一人で移動させ、スペースを奪うことなく使うことも可能でしょう。使い方のアイデアもご提案できるかと思います。ご関心のある方は、ぜひ弊社ホームページなどからお問い合わせください。