西日本で唯一、物流業界にまつわるさまざまな技術の総合展示会として知られる「関西物流展」が2022年6月22日(火)〜24日(金)、大阪市住之江区のインテックス大阪で開かれました。
各種センサでパレットの穴も識別するAGF
弊社は今回、オリックス・レンテックのブース内での無人搬送フォークリフト(AGF)のデモ展示に協力しました。
使ったのは弊社が販売代理店となっているVisionNav RoboticsのAGF。段ボール箱を積んだ樹脂パレットを、ネステナー(保管棚)に棚入れしたり棚出ししたりという動きを繰り返させました。壁や天井などに貼られた2次元コードで自分の位置を推定する他、レーザー光を使って物体との距離を測るLiDARなどさまざまなセンサを搭載しており、磁気テープなどによる誘導は不要です。樹脂製や木製のパレットにある穴に正確にリフトの爪を入れることもできます。
まずはデモの動きを見てみましょう。
今度は逆の角度から見てみましょう。
AGFのデモ展示はまだ数が少なく、比較的大がかりな展示となったこともあって、テレビクルーを含めた多くの来場者が集まっていました。
搬送しながら貨物のデータを一括測定
総合商社の豊田通商のブースでは、搬送中の貨物の大きさなどを自動で一括に測定する「CARGOMETER」(カーゴメーター)が展示されていました。
貨物を積んだフォークリフトがゲートを通る際に、ゲート上部に設置された3Dカメラが自動でスキャンし、貨物の寸法、体積を測定する仕組みです。箱についている2次元コードから情報を読み取ることも可能。フォークリフトの爪をセンサ内蔵のものに替えれば、重さも計れます。時速10キロで通り抜けても測定が可能なので、搬送作業を途中で止めることがありません。通常は一つ一つ人手で計測している場合が多いため、このシステムを使えば人件費は8割減が見込めるとのこと。オーストリアの企業が開発し、欧州では既に幅広く利用されているとのことでした。
在庫数を自動で表示する棚
計量システム機器大手のイシダと関西イシダのブースでは、シェルフサイネージと計量センサを組み合わせることにより在庫数を自動で表示できる棚が参考出展されていました。
近年、電子棚札を在庫管理システムと連動させ、ハンディターミナルで入出庫作業をすることによって在庫数を電子棚札に表示させるケースが広がっています。ただ、入出庫作業の際に入力漏れが生じる場合もあるのが悩みの種でした。今回のシステムでは商品ごとに計量センサを使い、商品1個当たりの重量を登録することで、人手を介さずにリアルタイムの在庫数を重さから計算し、自動的に表示する仕組みです。
6輪台車用に特化したAGV
無人搬送車(AGV)メーカーの愛知機械テクノシステムのブースでは、物流センターで広く使われている6輪台車に特化したAGV「CarryBee Dragon3」が展示されていました。
6輪台車は、倉庫や工場の他、スーパーマーケットのバックヤードなどでもよく見かける台車です。幅が狭く細い通路でも通れることなどが重宝されてよく使われる一方、通常のAGVでは横幅や高さが大きすぎて床下に入り込めず、自動化の現場で使えないという難点がありました。「CarryBee Dragon3」はその点を克服すべく開発したもので、台車の良さを損なわないよう、幅の狭い細長な形状になっています。低床で潜り込めるため、6輪台車を縦列に並べることが出来、運搬の効率化がかなり期待できそうです。今回の会場では床にシートが貼られていて目立ちませんが、磁気テープに沿って動くタイプのAGVです。
多数の2次元コードを遠くからでも一括読み取り
ソフト開発会社のワム・システム・デザインのブースでは、多数のコードを遠距離からでも一括認識できる2次元コード「ArU-code」(アルコード)が展示されていました。
ArU-codeはARマーカー「ArUco」を二つ以上組み合わせて使う2次元コードで、2020年に同社が開発しました。QRコードやバーコードは遠くからや複数同時の認識が得意でないのに対し、ArU-codeは10メートル程度離れた場所からでも100個程度なら一括で同時に読み取れるのが特徴。斜めからや暗い所でも読み取れるといいます。コードが示しているのはID番号で、クラウド上のデータベースにひもづけることでさまざまな情報を引き出すことができます。ブースでは読み取り用のアプリを搭載したスマートフォンをロボット掃除機に載せ、周囲に貼られた無数のArU-codeを瞬時に読み取る様子が画面から確認できました。物流倉庫の棚や箱に貼って棚卸しや入出荷の検品作業に使ったり、人に貼って出退勤や入退場を管理したりすることにも使えるとのことです。
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