弊社は産業ロボットを使った工場の自動化が主な仕事としています。一方で近年、サービスロボットが人々の生活に深く入り込んできており、昨今のコロナ禍でそのスピードはさらに加速しているように感じます。産業ロボットとサービスロボットでは使われる状況が大きく異なるものの、技術的に共通点も多く、またサービスロボットの広がりは、ロボットを身近な存在と感じさせるのに大きな役割を果たしていると言えます。そこで、多数のサービスロボットをそろえている東京・八丁堀の「ロボットマート八丁堀店」を訪ねてみました。
入り口では拍手ロボットの「ビッグクラッピー」が迎えてくれます。人感センサーがついており、人が近づくと拍手したりセリフをしゃべったりする仕組みです。店に入ると、店の顔とも言えるロボットコーヒーマシンが目に入ります。ロボット自体は工場などでも見かける産業用の協働ロボットです。レジで注文するとQRコード入りシートが発行され、専用の端末にかざせばロボットが器用にコーヒーマシンを操作してドリンクをいれてくれます。メニューは、ドリップコーヒーやカフェモカ、カフェラテ、ココアなど10種類。コーヒー豆やドリンクマシンもプロ用を厳選し、味にもこだわったそうです。店を運営するロボットセキュリティポリスの小川健之さんによると、リピーターも多く親子連れなどもよく買いにくるとか。客が大人か子供かをセンサーで見分け、相手に応じてセリフを変える機能もあるとのことでした。
ロボットマートは、ロボットセキュリティポリスの幹部が中国に出張した際、無人で営業している店を見て日本でやってみようと考えたことから始まったそうです。2018年に東京・日本橋で1号店がオープン。支払いは当然キャッシュレスです。当初は店員も置きませんでしたが、日本ではかえって不安がる客が多いため、3店舗目となる八丁堀店では数人の店員が常駐するスタイルにしたそうです。ちなみに1号店と福岡・博多の2号店(期間限定)は閉店しており、現在営業しているのは八丁堀店のみです。
店内には他にも数々のサービスロボットが並んでいます。ビラ配りなどをするマーケティングロボットの「モスペンくん3号」や分身ロボットの「OriHime」、中国製のヒューマノイドロボットのほか、動作拡大型スーツの「スケルトニクス」も店の奥で異彩を放っていました。しっぽのついたクッション型セラピーロボット「Qoobo」など、実際に購入できるものも少なくありません。子供向けにプログラミングの勉強ができるロボットのおもちゃもあります。全国各地のちょっと珍しい地方の食材なども多数そろえています。レジでは指定した場所に買うものを置くと、商品の画像で深層学習したAIが特定し、精算する仕組みだということです。
「一言で言うなら人間とロボットの協働による非接触型店舗ですね」と小川さん。ポストコロナでは、こんなスタイルが求められるようになるのかもしれません。