今年はヒューマノイドロボットに注目!? 産業用ロボットからアプローチした「Kaleido」を見てきました

今年はヒューマノイドロボットに注目!?     産業用ロボットからアプローチした「Kaleido」を見てきました

2022年はヒューマノイドロボットが注目を集めるかもしれません。1月に米国で開かれた世界最大のテクノロジー見本市「CES2022」では、英国のロボット開発企業が公開したヒューマノイドロボット「Ameca」が、驚くほどリアルな表情を浮かべることで話題を呼びました。自動運転と電気自動車で知られる米テスラ社が昨夏開発を発表したヒューマノイドロボット「Tesla Bot」の試作機も、年内に公開される予定です。ただ、本田技研工業の「ASIMO」を挙げるまでもなく、日本もヒューマノイドロボットの研究開発はさかんです。中でも川崎重工業のヒューマノイドロボット「Kaleido」は、産業用ロボット事業で半世紀の歴史を持つ大手メーカーが実用性にこだわって開発を進めているという点で注目に値するでしょう。実物が展示されている東京都港区台場の「Kawasaki Robostage」を訪ねてみました。

成人男性と同じスペック

展示されていたKaleidoは身長約180cm、体重約85kg。一般の成人男性とほぼ同じスペックです。可搬重量は約60kg。災害現場でガレキを動かしたり、けが人を抱き上げたりすることも想定しています。32軸のモーターを四つのコントローラで制御しており、二足歩行できるだけでなく、目の代わりをするビジョンセンサーによって対象物を見つけ、作業することも可能です(展示中のKaleidoは残念ながらビジョンセンサーが外されていました)。 「Tesla Bot」も身長約173cm、体重約57kgで、可搬重量は約20kg、時速8kmで移動でき、肉体労働などで人の代わりになるロボットを目指すとしています。Tesla Botが人工知能(AI)を活用することを重視している点では大きく異なりますが、基本的コンセプトでKaleidoと似通っている点も多いように思います。

「倒れても壊れない」究極の協働ロボット

産業用ロボットのメーカーである川崎重工業がヒューマノイドロボットの開発に力を入れているのには理由があります。ロボットに人間の代わりを務めてもらおうと思えば、違和感なく自然に人間社会に溶け込むにはヒトというインターフェイスが最も適しているからです。いわば究極の協働ロボット。他のサービスロボットのヒューマノイドロボットとは違って、「Kaleido」が「倒れても壊れない二足歩行ロボット」「24時間365日、人と同等、あるいはそれ以上の精度で働く」ことをコンセプトとしていることからも、単に人間の動きを再現するだけでなく、日常生活の中で人間の代わりに働けるという実用性にこだわっていることがわかります。

「Kaleido」は漢字で「華麗人」と書き、「変化自在、無限進化、天空の煌めき」といった意味から、日々変化する社会で人と共存し、災害現場など厳しい場面で人の役に立てるロボットになる、という想いが込められているそうです。労働力としてのロボットは、工場で安全柵に囲われた産業用ロボットの時代から協働ロボットの開発に続き、本格的に人間社会に溶け込んでいく節目を迎えようとしているのかもしれません。その際には、私たちロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)の仕事も大きく様変わりすることでしょう。

川崎重工業によるホームページ上の企画「VISION OF HUMANOID」のvol.0はこちら>>>

https://robotics.kawasaki.com/ja1/xyz/jp/2011-01/index.htm

「Kawasaki Robostage」のホームページはこちら>>>

https://robotics.kawasaki.com/ja1/robostage/


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