ロボットの開発に必要な技術が一堂にそろう専門技術展「関西ロボットワールド」が2022年6月9日(木)、10日(金)の両日、大阪市住之江区のインテックス大阪でありました(前年の様子がこちら)。弊社社員がFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)のセミナーに登壇した10日の様子をご報告します
ロボットSIerをセミナーでアピール
この日のお目当ては専門セミナー会場Bで開かれたSIer協会のセミナー「ロボットに命を吹き込む仕事—ロボットシステムインテグレータの紹介—」。ロボットSIerがまだまだ世間一般には知られてないため、人材確保の狙いも込めて業界をPRしようと開いたものです。
セミナー会場の入り口に掲げられたパネルがこちら。わかりやすい語り口で最近動画にも登場している弊社西日本事業所の角淵弘一が前年に続いて登壇し、「無人化を実現するのは人だ!我々インタグレータだ!」という熱いタイトルで語りました。
タイトルは熱いのですが語り口はあくまでソフト。弊社が開発に携わったグループ会社のロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場のシステムを解説しながら、ロボットSIerの魅力を力説していました。
SIer協会もブース出展
もちろん、SIer協会もブースを出展。さまざまな啓発活動を紹介する掲示やテキスト類などの発行物を並べて、ロボットSIerの将来性や重要性をアピールしていました。
エアー不要、電気で制御する吸着素材
大小さまざまなブースが並ぶ中、今回初めて展示会に出展したという企業・団体もあります。その一つがコニカミノルタ。いくつかの展示物の中で、電圧制御式吸着ハンドという新しいアイデアが目を引きました。
電圧をかけると粘着性を発揮する特殊な樹脂を開発した藤倉化成とのコラボレーションによるもので、電気のオン、オフでくっついたりくっつかなかったりするという吸着ハンドです。写真の中央左に写っている小さな黒い乾電池のような円筒状のものの円状の断面部分についている青い丸や、中央右に写っている旗状のものに使われている青いシートがその特殊な樹脂。通常の真空吸着だと、紙状のものはシワになったり、穴のあいたものはエアが漏れて吸着できなかったりという難点がありましたが、この電圧制御式吸着ハンドならそれらエア吸着が苦手とするワークにも対応できるということです。小型で静かなだけでなく耐久性や応答性にも優れており、シリコンウエハーや紙、ガラスといったワークを扱うのに向いているということでした。
いずれは月で……究極のアバターロボット
三菱電機通信機製作所のブースでは、遠隔操作ロボットの「DiaroiD」(ダイアロイド)が展示されていました。脚にクローラを採用した双腕タイプのヒューマノイドロボットです。
34軸という高い自由度を誇り、5本指のロボットハンドはシュークリームからダンベルまで、さまざまなワークをシーンに合わせてつかむことが可能といいます。WiFiなどの無線通信によって遠隔操作することが可能で、以前ご紹介した人機一体の汎用人型重機「零式人機」のように人間のパワーを超えた作業をさせるのではなく、人間をそのまま置き換えた利用法を想定しています。ハンドの手先にかかる力は力覚センサで感知し、操作者側のディスプレイ上にゲージで表示。ヘッドマウント型のディスプレイは使わず、通常のディスプレイ立体視用のカメラ映像を映し出すことで奥行き感のある映像を提示すると同時に、ロボット本体の3D映像も映し出すことで死角をなくす工夫もしています。災害現場や極地などでの危険な作業のほか、将来的には宇宙空間や月面などでの作業も想定しているとのことでした。
3年後はロボットも万博会場で活躍?
会場の片隅では、2025年日本国際博覧会協会もブースを構えていました。3年後に開かれる大阪・関西万博のPRのためです。
今回の万博では大阪市臨海部の夢洲を舞台に、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとしたさまざまな展示やイベントが開かれる予定です。ロボット研究で知られる大阪大学の石黒浩教授がプロデューサーに加わっていることからもわかるように「次世代ロボット」も大きな要素の一つとして取り上げられているため、今回の展示会とも親和性が高そうだと思われたようです。
ブースでは会場のイメージ図や公式キャラクターのポスターなどが展示される一方、来場者にメモ帳やチラシなどを配って機運の高まりを呼び掛けていました。
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新エフエイコム株式会社 ライター 竹花 周
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