産業用ロボットの今を知る スマラボ小山

産業用ロボットの今を知る スマラボ小山

オフィスエフエイ・コムは2018年5月、スマートファクトリーの最先端技術を体感できる常設展示場「スマートファクトリーコンダクターラボ(略称スマラボ)小山」を、栃木県小山市の東間々田工場内にFAプロダクツ、ロボコムと共同で開設しました。約300㎡の中に10を超える産業用ロボットが設置され、性能を目で確かめることができます。今回はその一部をご紹介しましょう。

郊外の住宅地に突如現れる最先端のラボ

最寄り駅はJR東北線の間々田駅。近くの高校へ通う学生の姿が目立つほかは利用客の姿も少ない東口には、最先端のラボの存在を感じさせるものはほとんどありません。しかし、住宅地の道をしばらく歩くと突如鮮やかなオレンジと黒に塗り分けられた弊社の東間々田工場が現れます。

道路に面した看板もあってわかりやすいのですが、実はこちらからは中に入れません。少しまわり道をして裏手に回ると……。

こちらが玄関で、スマラボ小山の入り口になっています。初めての人には少しわかりづらいかもしれませんが、落ち着いて探してみてください。

1階スペースの約半分がスマラボ小山で、入り口受付には弊社のロゴも表示されています。2階には開発室や社員食堂のほか、会議室や打ち合わせ用のスペースなどがあります。

多様なメーカーの組み合わせで課題を解決

中に入ると中央に大きなモニターと椅子席があり、両脇に最先端の産業用ロボットがずらりと並んでいます。いずれも実際に動かすことができ、IoT技術を活用することでロボットがどんな作業までこなすことができるのか、リアルに体感することができます。

特に、国内外の10を超えるメーカーのFA機器を組み合わせたマルチな展示に注目してください。ロボットメーカーなどから派生して生まれた企業も多いこの業界の中で、弊社は貴重な独立系の企業であり、国内外ほぼ全てのメーカーの製品を扱うことができます。そのため、工場内の課題を解決するために最も適切な製品の組み合わせを選ぶことができるのです。

スマラボ内は、物流▽自動車/機械▽IoT▽食品—の四つのゾーンに分かれており、業態に応じたロボットの活用事例を展示しています。ゾーンごとに、主な展示内容をご紹介しましょう。

物流ゾーン

インターネット通販の利用が拡大したことで、物流業界では増加した荷物が集中し、作業量が激増しています。そのため、荷物のあげおろしをはじめとするさまざまな作業をロボットで自動化するニーズが高まっています。

ここでは、「3Dトラッキングによる物流仕分け」システムをご紹介します。通常の3次元カメラは止まっているものしか検知できませんが、このシステムで使っているリコー製の3次元カメラは高速で検知する性能があるため、コンベア上を流れる荷物を検知して高さの違いに応じ仕分けることができます。

一方、荷物を取り上げるロボットアームはエプソン製。カート型で移動できるようになっており、人間1人分のスペースで設置できます。出荷時に作業員がしている仕分け作業を自動化するのに使うことができるシステムです。 物流ゾーンには他に、カゴ車の中の荷物をコンベアに乗せる「デパレタイズシステム」や、床に貼った2次元コードを読み取って自分のいる位置を確認しながら、倉庫の荷物を棚ごと運ぶ無人搬送車(AGV)なども展示しています

自動車/機械ゾーン

自動車業界は古くからロボットの導入に取り組んでおり、工場自動化の分野では先進業界です。ただ近年、消費者もカスタマイズされた自動車のニーズが高まっており、生産現場でも同じ作業しかできないのではなく、柔軟性のある動きができるロボットが求められています。そこで、人と働くことを前提とした「協働ロボット」の開発・導入が広がっています。

ここでは、米国のリシンクロボティクス社が開発した協働ロボット「sawyer(ソーヤー)」を紹介します。通常のロボットは、プログラミングによって事前に動作を教える「ティーチング」という作業が必要です。しかしソーヤーは、最初に人が直接手で動かし、作業のポイントを指示すれば、あとは同じ作業を勝手に繰り返してくれます。また、一緒に働いている人にけがをさせないよう、何かにぶつかったら動きを止めるためのセンサーを備えています。作業中はモニターに目が表示されるのも、人と一緒に働くことを想定しているからかもしれません。

自動車/機械ゾーンでは他に、二つの金属部品をロボット2体がつかんで一つにはめ合わせる「嵌合システム」や、バラバラの荷物の向きを3次元で認識し、向きをそろえて取り上げることができる「3Dばら積みピッキング」のシステムなどを展示しています。

IoTゾーン

IoTは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット化」などとよく表現されます。要は、さまざまな器具をインターネットを介してつなぎ、それぞれの器具のデータを結びつけて連動させる仕組みのことです。当然、産業用ロボットの世界でもIoT化が年を追うごとに進んでいます。

ここで紹介するのは、協働ロボットと自動搬送車(AGV)を組み合わせたシステムです。AGVの上に協働ロボットを載せ、コンベアで流れてきた商品を離れたところまで運んで陳列することができます。AGVは自分で危険物を避けることができる上、ロボットも協働型なので、安全柵を設ける必要がありません。コンベア上にはカメラが設置されていて、商品の文字のかすれや印刷の欠如などをチェックし、インターネットで繋がっている生産管理システムと付き合わせて不良品として振り分けることも可能です。 IoTゾーンでは他に、専用の制御装置を必要とせずパソコンだけで操作できる「3Dピッキング+ORiN」などのシステムも展示されています。

食用ゾーン

工場自動化のすそ野が広がりつつある近年、注目を集めているのが「三品産業」と呼ばれる食品・医薬品・化粧品の業界の自動化です。中でも食品は、衛生面の問題だけでなく、食材の形や硬さが一律ではないことなどで技術的なハードルも高く、各社が技術を競い合う場となっています。

ここでは、弊社が開発した弁当盛り付けシステムを紹介します。食材に応じてハンド(ロボットの指先に当たる部分)を自分で切り替え、弁当箱に盛り付けます。ハンドにはセンサーがついていて、重さを量るだけでなく、煮物などの柔らかい食材が潰れないよう、つかむ力を調節します。コンビニ弁当の盛り付け作業は多くが人の手に頼っており、過酷な労働だけに働き手が足りないため、自動化に大きな期待がかかっています。

食品ゾーンではこの他、おにぎりをケースに詰めるシステムや、冷凍状態のレトルト食品を取り出すシステムなども展示しています。

企業担当者や学生はぜひ

これまで見てきたように、スマラボ小山には多様な場面を想定した多彩なロボットシステムが展示されています。ツアーで説明を担当する弊社営業本部スタッフは「ロボットを導入したいと考えておられる企業の方に来ていただければ、どういうロボットがあってどういうことができるのか、想像しやすいと思います。いろんなメーカーの製品を組み合わせてシステムを作れるうちの会社の強みもわかっていただけるはず。あと、うちの会社に関心のある学生の方などにも見にきてほしいですね」と話していました。

スマラボ小山
営業時間: 平日10:00-18:00
住所  : 栃木県小山市東間々田3-23-23
アクセス: JR東北線「間々田駅」東口より車で5分、徒歩15分
      駐車場有

ご来所は事前の登録制となっています。ご関心のある方は、下記フォームよりぜひお気軽にお問い合わせください。


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